小説『魔女と過ごした七日間』

本家

新刊が出たと聞いて。

届いたのが日曜で天気も良く外に出かけるという手もあったけど、花粉だし読みたいし、と言うことで一気に。

円華、という名前さえ覚えておらず、ただなんとなく魔女的な事が出来る人だったよな、というような微かな記憶だけで、でもまあ新しい話だしその程度でもなんとかなるか、と読み始めた。どうやら数年いや数十年後の話っぽく、でも登場する未来感はモバイルと自動運転の電気自動車、くらいなもん。あーゲノムモンタージュとDNAデータベースもか。主人公が中学生、と言うところに挑戦を感じるし、年齢的にその世代が読めばどんなふうに感じるのかとても興味はあるが、なかなか面白い展開で楽しめた。作者のAI、そして政府による国民背番号制度に対する想い、もっと言うと反論が強く滲み出ていて、これを読む若者達に訴えかけている印象だった。このタイミングでの発刊と言うのは作者の先見の明と思うしかないが、AI がどこまで行っても不完全で、抜け道と言うか穴と言うか、は存在する、と自分も思う。なんなら人間がそうなんだからその人間が生み出すものに完全なんてあり得ない。それにしても犯人が伊庭と言うのは、なるほど、と思いつつも人殺すかー、と考えずにはいられない。

小説『魔女と過ごした七日間』